家元の寵愛≪壱≫
免許証を入れた鞄を離れに取りに行き、
車に乗り込んだ私たちは…。
「じゃあ、行って来ます」
「「気をつけて~」」
「は~い」
私は緊張しながらエンジンを掛けた。
窓を閉め、シートベルトをして安全確認。
「隼斗さん、大事な命をお預かりします」
「フフッ…あぁいいよ。俺の命はとうの昔にゆのにくれてやってるから」
「ッ?!////////」
嬉しいやら恥ずかしいやら。
言葉にならない程の緊張と高揚感。
私は深呼吸して車を発進させた。
隼斗さんは澄ました顔でいるけど、
初心者の運転……怖くないのかな?
暫く市街地を走らせると、
「ゆの、あそこのケーキ屋に寄れるか?」
「えっ?……あっ、はい!!」
可愛らしいケーキ屋さんの駐車場に停車し
「ちょっと待ってて。皆の分のケーキを買って来るから」
「あっ、はい」
隼斗さんは爽やかな笑顔で店内へと。