家元の寵愛≪壱≫


「ちょっ……どうするんですか?!これ…」


ゆのは俺のつけたキスマークが気に入らない様子。


「フフッ……これで完璧だろ?」

「なっ……何がですか?!」


ゆのはムッとした表情で俺を見上げている。


「何が気に入らないんだ?」

「何がって……痕がつきましたよ?」

「ん、俺がつけたからな」

「ッ?!……何考えてるんですか?」


ゆのはキスマークを

『恥かしいもの』と思っている。


俺はそんなゆのに……


「ゆの、俺のこと好きか?」

「えっ、急に何ですか?」

「俺がもしゆの以外の女に囲まれてたら?」

「えっ?…そんなの…嫌に…決まってるじゃないですか」

「だろ?」

「ん?」

「俺も一緒」

「え?」


ゆのは小首を傾げて


「ゆのに俺以外の男が寄り付かない…おまじない」

「あッ……」

「だから、ワザと……な?」

「……もうッ////」


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