家元の寵愛≪壱≫
「ところで隼斗さん、そのカゴは?」
「ん?これか?」
俺は車から下ろした籐カゴを持ち上げ
「仕事に使う物を『採り』にって言ったろ?」
「えっ?『とり』にって……えぇーっ?!」
ゆのは驚きながら辺りを見回して、
「もしかして、取るんじゃなくて採るんですか?」
「そう」
ポカンと口を開けて俺を見てる。
「口が開いてんぞ」
「あっ……ちょっと隼斗さん」
「ん?」
俺は歩きながら色鮮やかな落ち葉を拾い始めた。
すると―――――、
「葉っぱを採りに来るだけなら、そう言ってくれればいいのにーッ!!」
「ん?」
後ろを振り返ると頬を膨らませたゆのが。
俺は地面にカゴを置いてゆののもとへ。
「ゆの、どうした?何で怒ってんの?」
「別に怒ってませんよ」
プクッと膨れたままの顔を背けて…。