家元の寵愛≪壱≫
ますます赤くなるゆの。
恥かしそうに俺の服をギュッと掴む仕草も
愛おしいと思ってしまうのは…
俺がゆのにベタ惚れだからだよな。
「もう、何でも無いです」
ゆのは俺の服をパッと離し、
俺が地面に置いたカゴを取り上げ、
スタスタと楓の樹木の方へ歩き出した。
ったく、照れたり怒ったり忙しい奴。
まぁ、そこが可愛いんだけどな。
俺はゆののもとへ駆け寄って…。
ゆのは枯れて引っ掛かっている楓の枝に
背伸びをして腕を伸ばしている。
俺はそんなゆのの腰をひょいと持ち上げた。
「キャッ!!ななな、何をしてるんですか!?」
「暴れんな、落ちるぞ?」
「えっ…」
「ほら、早く採って」
「……はい」
華奢なゆのを持ち上げるのは大した事ではない。
普段から姿勢を崩さない為にも
筋トレは欠かさずしてるし…。
それに、大事な女を落とすワケねぇだろ。