家元の寵愛≪壱≫


ますます赤くなるゆの。

恥かしそうに俺の服をギュッと掴む仕草も

愛おしいと思ってしまうのは…

俺がゆのにベタ惚れだからだよな。


「もう、何でも無いです」


ゆのは俺の服をパッと離し、

俺が地面に置いたカゴを取り上げ、

スタスタと楓の樹木の方へ歩き出した。


ったく、照れたり怒ったり忙しい奴。

まぁ、そこが可愛いんだけどな。


俺はゆののもとへ駆け寄って…。


ゆのは枯れて引っ掛かっている楓の枝に

背伸びをして腕を伸ばしている。

俺はそんなゆのの腰をひょいと持ち上げた。


「キャッ!!ななな、何をしてるんですか!?」

「暴れんな、落ちるぞ?」

「えっ…」

「ほら、早く採って」

「……はい」


華奢なゆのを持ち上げるのは大した事ではない。

普段から姿勢を崩さない為にも

筋トレは欠かさずしてるし…。

それに、大事な女を落とすワケねぇだろ。


< 155 / 450 >

この作品をシェア

pagetop