家元の寵愛≪壱≫
「なぁ、ゆの」
「はい?」
「こうやって膝枕した事のある男って、俺だけ?」
「えっ?」
俺は見上げながらゆのに問う。
「この場所を知ってるのは俺だけか?」
「そう……ですね………あっ!!」
「ん?まさか、いるのか?俺の他に…」
「はい、いると言えば……います」
心の奥でチクッと何かが刺さった気がした。
「誰?」
無意識に顔が険しくなって行く。
「お父さん。昔、こうやって良く耳かきをしてあげましたから」
「はぁあぁぁ~何だよ。お義父さんかよ!!ビビらせんな」
「フフッ……それってヤキモチですよね?」
「ッ!!////ちげぇーよ!!////」
ぬぅわぁあぁ~~バカだ、俺!!
また、自分で墓穴掘ってんじゃん!!
あぁーもう~~!!
ゆの相手だと、
何でこうも冷静でいられないんだ?
はぁ~~どんだけベタ惚れなんだよ。
俺は恥ずかしくて、
火照る顔を彼女の太腿へ埋めるように。