家元の寵愛≪壱≫
授業を終え、自宅へ帰宅。
荷物を離れへ置いて、急いで母屋へ。
30分程、文香作りを手伝い、
お義母様と共に夕餉の支度を。
いつもと変わらず食事をしている筈なのに
考え事をしているせいなのか、
美味しい筈の料理の味が全くしない。
「ゆの、ほとんど手をつけてないけど、具合でも悪いのか?」
心配そうに覗き込む隼斗さん。
「えっ…いえ、何とも無いです」
作り笑いで何とか誤魔化した。
元々、食が細い私が…
さらに手数が減れば怪しんで当然。
しっかりしなくちゃ……。
夕食を済ませ、離れへ。
入浴は隼斗さんが先にその後私が。
お風呂から出た私は鏡台前で髪を乾かしながら
鏡越しの隼斗さんに視線を向けた。
彼は畳に両手を着き、両足をベッドの上へ。
傾斜角度30度程の体勢で腕立て伏せを。
彼は時間があるとあぁして筋トレをしている。
これといってジム通いをしていないのに
身体は理想的な肉体美。