家元の寵愛≪壱≫


抱きしめられる腕はますます強くなる。

息苦しさが抱きしめられる幸福感へと変化する。

……心地良い仄かな香り。

茶室で焚かれたお香の香りが、

隼斗さんの着物から微かに…。


長時間茶室に籠る家元ならでは。

隼斗さんの胸に手を添え寄り添うように…。



「ゆの?そろそろいいか?」

「へ?」

「早く着替えないと、また母さんがブーブー煩い」

「あっ…はい!!」


ボーっとし過ぎちゃったみたい。


緩められた腕からゆっくり離れ、

エヘヘッと誤魔化すように笑顔を。



「ッ!!それ反則だろ!?」


―――――チュッ…チュッ。


不意打ちに甘く唇を冒される。


「ッ!!//////////」


耳まで赤く染めた私を余所に、着替えを始める隼斗さん。


「もう!!////////」


手で顔を煽ぎながら隣りの部屋へ着替えに…。


ホント……いつもいつも……。

勝手に唇を奪うんだから////////


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