家元の寵愛≪壱≫
大学からの帰り道。
ふと、書店が目に入り、
吸い込まれるようにそこの駐車場に車を停めた。
確か、今日は隼斗さんが愛読している車雑誌の発売日。
ここの所、毎日仕事が忙しいみたいだから
きっと買に行く暇も無い筈。
私にはこれくらいの事しかしてあげれない。
彼の支えになりたいのに、
茶道に関しては部外者もいい所だから。
もっと沢山勉強して、
彼の隣りに自信を持って立たないと。
店内をウロウロしながら、
見慣れぬ男性ホビーコーナーへと。
そこには釣りやアウトドア専門書のほか、
バイクや車関連、日曜大工などの本がズラリと。
私はその中から車関連の雑誌の前へ立って
端からゆっくりと視線を向けた。
何て名前だったか、自信がない。
確か、そんなに長い名前では無かったような……。
雑誌名はアルファベットの雑誌だったよね?
幾つか手にとってはパラパラと捲り、
あれこれ悩んでいると………。