家元の寵愛≪壱≫
「おっ!!アンタ、確か……隼斗の嫁だろ?」
「へっ?」
すぐ横から『隼斗さん』の名前が聞こえたのもあり、
恐る恐る視線を向けると、
「あっ!!玲のお兄さん!!」
「フッ、久しぶり。いつぶりだ?」
「ん~、お正月明け以来ですかねぇ?」
「ん~……そうかもな」
「はい」
「隼斗とは仲良くヤッてるか?」
「あっ、はい!!」
「プッ………。アンタ噂通り、マジで天然なんだな」
「えっ?」
「フッ、いや、何でも無い。それより、今日は1人?」
「あっ、はい。お兄さんは?」
「あ、俺も今は1人。ってか、仕事中でちょっと息抜き?」
「えっ?」
玲のお兄さん・圭介さんは、
普段着とはまるで印象が違うスーツ姿。
ガッチリタイプだけど、イケメンだからスーツが似合う。
でも仕事中って、それって大丈夫なの?
ちょっと心配になって顔を覗き込むと、
「あっ、言っとくけど、サボりじゃ無く休憩な?」
「へ?」
「昼メシがズレ込んで、さっき食ったとこ」
「えっ?こんな時間に??」
「あぁ」