家元の寵愛≪壱≫
歓談も落ち着きを見せ始めた頃、
再び会場内が薄暗くなり、
ステージ上のスクリーンに映像が流れ始めた。
「懐かしいな」
「はい、そうですね」
いつの間にか、隣りに座っている隼斗さん。
スクリーンを眺めながら呟いた。
それは、私が藤堂に嫁いだ1年前からのもの。
いつの間に撮ったのか分からないけど、
初めての茶事や海外興行のものや
茶会の様子や稽古風景が次々と映し出された。
時折、皆の視線を集めるような際どいショットまで。
きっと、アレはお義母様の隠し撮りに違いない!
お義母様に視線を向けると、ピースサインをしている。
………やっぱり!!
もう!! 恥かし過ぎる!!
ハンカチで顔を扇ぎながら眺めていると、
「へ?」
……何?
一体、どうしたの?
急にスクリーンの映像がフリーズし、
会場内からも不安の声が湧き起こる。
ゲストハウスのスタッフの方が歩み寄って頭を下げると、
突然、どこからともなく音楽が流れ始めた。
「ん?」
思わず声が漏れ出し、視線が泳ぎ始めた。
だって、だって、だって……。