家元の寵愛≪壱≫
「実は、以前から毎日のように大学への送り迎えを隼斗さんにして頂くのは申し訳ないと思っていて…」
「……?」
「私、玲に相談して……この夏休みに『車の免許』を取る事にしたんです」
「……えっ?」
「で、合宿は合宿でもセミナー合宿でなく、合宿教習に行って来ました」
そう言って、
ゆのは俺の目の前に
免許証を差し出した。
「昨日、ポシェットの中を見せれなかったのは、その教習所で頂いた『卒業証明書』が入っていたからです」
「………」
「今日、市内の教習所で適性検査と学科試験に合格して正式にこれを頂いて来ました」
「………」
「だから、これを見せるまでは秘密にしておきたかったんです」
「………」
「一発で受かるとも限りませんし…」
ゆのは少し照れ臭そうに…。
――――えっ?!
って事は、俺の勘違い?
1人で勝手にイラついてたのか?