Dearest

11・美人なサンタクロース

季節はクリスマス。

エンドロール家のリビングには、装飾が綺麗に飾られたツリーが置かれていた。



「ジングルベル〜♪ジングルベ〜ル♪」



楽しそうに歌う子ども達を見ながら、アキはご馳走を作っていた。




「アキ、サンタクロース来るかな?」

「うん。みんないい子だから必ず来るよ」



もう小学校高学年の子ども達だが、サンタを未だ信じている。

アキはそれが微笑ましかった。



ホワイトガーデンは毎年クリスマス会は行うが、子ども達1人1人にプレゼントをしない為、孤児の彼らにはサンタが来た事がない。



だから普通の家庭を持った彼らは、今日を楽しみにしているのだった。




「あっ!ケーキの存在忘れてた」


子ども達を見つめていたアキはオーブンで焼いていたケーキの存在に気付いた。


オーブンの中から登場したのは真っ黒い塊。



「…生クリーム塗っちゃえばわからないよね」



アキがコソコソと作業をしていると、とんがり帽子を被った子ども達がキッチンにやってきた。



「うわっ!何、その黒い塊!!」

「ケーキのスポンジですか?」

「まさか、お前!!生クリーム塗ればわからないって思っただろ!?」



子ども達の非難の声が飛ぶ。
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