Dearest
「さて、そろそろ帰りますか」


ラヴは立ち上がると伝票を持って清算しにいった。



「ラヴ、今日はあたしの奢りですよ」

「いえ、紳士として女性に払わす事は出来ません」

「でも…お礼が…」



しょんぼりするアキに気付いたラヴは、ふっと笑い呟く。



「では、今度ハンバーグ作っていただけませんか?」

「ハンバーグ?」

「はい、私の大好物です」


そう言うとラヴはにっこり笑った。



「…はいっ!!作ります」

「楽しみにしてます」


会計を済ませたアキとラヴは店を後にした。



外はもう真っ暗で、空には星が煌めいている。




「ラヴは子供たちと同じ部屋?」


「いえ、私は仕事をしてますし、もう成人ですから1人部屋を使わせてもらってます。…本当は施設を出なくてはいけない歳なんですけどね」


「じゃあたまにラヴの部屋に遊びに行っていい?」


「はい。いつでもどうぞ」


ラヴがそう言うと、アキはにんまり微笑んだ。



ホワイトガーデンに着き、自室に戻るとアキは姉にメールをした。




『お姉ちゃん、あの人に会えたよ。それもこの施設に住んでる人だったの!!これから色々楽しみだよ』


アキはメールを送り終えると、窓の外を見つめる。




「これから始まる生活が凄く楽しみになったよ…ラヴ…」



アキはそう呟くとカーテンを閉めた。




彼女のイギリスでの生活が、明日から本格的に始まる。
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