Dearest

2・side of Luv

海の音が聞こえる…

穏やかな音色…



その波の音色と混ざって聞こえる、女の人の泣き声…








物心がつく頃、私はホワイトガーデンという白い建物の中に住んでいた。



そこには私と同じ年頃の子どもがたくさんいる。


そして『先生』と呼ばれている大人もたくさんいた。




でもその人達が、自分と何の繋がりもない事はわかっていた。




…そういえば、私の名前はなんだろう。



みんな名前で呼ばれてるのに、私は名前で呼ばれた事がない。




私とは誰だ?
私は誰だ?



そう考えたら、自分の存在の意味がわからなくなった。




「あなたの名前は『ラヴ』よ。ラヴ=エンドロール。それがあなたの名前よ」


「ラヴ?愛情のLOVEですか?」


「いいえ。スペルはエル、ユー、ブイでLUVよ」



LUVではラヴじゃなくてルヴじゃないのだろうか。



疑問に思ったけれど、自分は“ラヴ”なんだと自覚した。




私に名前を教えてくれたのは、施設長のMrs.桜井だった。
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