Dearest
時間を見計らって、アキはアシュリーのクラスに足を運んだ。


6年生は英語の授業を行っていた。




「じゃあこれをアシュリー=エンドロール君、解いて下さい」



先生に指されたアシュリーは帰国子女なだけあり、難なく問題を解く。


アキの目には、そんなアシュリーを見つめるクラスの女子たちが映った。




「さすがアシュリー…。モテモテだな」



親バカかもしれないが、アキもクラスの誰よりもアシュリーが輝いて見えた。



授業が終わり、子ども達は帰りの支度を始める。




「あれ、アキ来てたのか」

「何よ、それ」



アキとアシュリーが話していると、アキの周りに女子達が集まってきた。




「アシュリー君のお母さんですか?」

「え?えぇ、そうよ」

「きゃー!若ーい!!きれーい!!さすがアシュリー君のお母さん」



女子達は騒ぎ出す。




「…アシュリー、モテるわね」



アキは小声でそう言うとアシュリーを肘でつつく。




「女は嫌いだ」



アシュリーはそう呟くと、帰りの支度を始めた。




「素直じゃないなぁ」



アキはアシュリーの後ろ姿を見ながら笑った。
< 81 / 596 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop