Fragile～思い出に変わるまで〜

「でも……」


言われなくてもわかってる。


藤森さんのお願いを健は聞き入れたんだろう。


私は黙って聞いていた。

「しばらく断り続けてたんだけど、最後に別れるときに、泣かれちゃってさ……

それでも俺、どうしてもうまくいくとは思えなかったから、藤森が落ち着くの待って、できないって言うつもりだったんだ……」


そう語る健の言葉に嘘はないんだろう。


泣いている彼女にオロオロしながら、がんばって断ろうとする姿が目に浮かんだ。


「そしたら……

娘に何かされたらと思うと怖くて不安なんだって言われて……」


そっか、娘さんのこと出されたら、断れないよね……？


「それで最後の最後に引き受けちゃったんだ……」


健はそう言い終えると、ガックリとうなだれた。