Fragile~思い出に変わるまで〜
本当に引き受けるつもりはなかったんだろう。


健の様子からそれが痛いほど伝わってくる。


もうそれだけで充分だった。


全部包み隠さずに話してくれたことも、私に対する誠意なんだと受け取れる。


さとみに申し訳ない……


そんな風にうなだれている健を見ていると、これ以上彼を追い詰めたくなかった。


だから自分の中である決断をする。


俯く健の頭に手を伸ばし、そっと髪を撫でた。


そのまま顔を両手で挟み、こちらを向かせる。


驚いたような表情をしている健の唇にそっと唇を重ねた。


触れるだけのキスをしたあと、自分の胸に健の顔を埋めさせて、優しく包み込むように抱きしめる。


「ちゃんと……話してくれてありがとう」


そう抱きしめながら言うと、健の体がピクッと動いた。


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