Fragile~思い出に変わるまで〜
「私が……健を見かけたとき、確かに二人でしばらく話してるみたいだったんだけど……

急に女の人が健に



……抱きついたんだよね」


「……えっ?」


そんなことがあったなんて、健からは聞いてなかった。


驚いて思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。


「そ、そうなんだ

あはっ……知らなかったな……

で、でもきっと私に心配させないように言わなかったのかもね?

あははっ……は…」


動揺を隠せないまま、私は無理に笑って見せる。


そんな私に追い打ちをかけるように、美咲が言った。


「ごめん、さとみ……

それだけじゃないんだ」


いったん目を伏せ小さく息をついた美咲は、再び顔をあげると、私の目を真っ直ぐ見て言った。


「彼女が先に抱きついたあと……

健が……今度は彼女を……




抱きしめてた……」


< 141 / 589 >

この作品をシェア

pagetop