Fragile~思い出に変わるまで〜
急に全身の力が抜けたように、そのまま体が崩れ落ちた。


女の子のキャーという悲鳴と、大丈夫ですか?!という男の人の声が遠くの方で聞こえる。


気がつくと、私はその男性に抱き抱えられていた。


「あ……、ごめんなさい」


なんとかそう口にして、立ち上がろうとするけど、なかなか力が入らない。


貧血かもしれない。


体が、さわさわする。


男性は私の体を支えながら、心配そうに顔を覗き込んだ。


「大丈夫ですか?

無理しないでください

あそこにソファーがありますから、一旦休みましょう」


ゆっくりと支えられながら立ち上がると、覚束ない足取りでソファーへと連れていかれる。


少し大きめの柔らかい生地が、私の体を包み込んだ。


背もたれと肘掛けに寄りかかって、目を瞑りながら浅くなった呼吸をゆっくりと整えた。


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