Fragile~思い出に変わるまで〜
ようやく落ち着いてきた頃、人の気配を感じてうっすらと目を開ける。


そこにはさっき支えてくれたと思われる男性が立っていて、心配そうに様子を窺っていた。


「あ……」


重たい体を起こそうとすると、手で制される。


「良かったらこれ」


そう言って手渡されたのはペットボトルのお水だった。


私を座らせてから買いに行ってくれたらしい。


「あ……りがとう……ございます」


とぎれとぎれにお礼を言って、遠慮なくお水を口に含むと、さっきよりも気分が落ち着いてくる。


彼は向かいの椅子に腰掛けて、私が落ち着くのを待ってくれてるみたいだった。


昼休みなくなっちゃうよね?


この会社の人だろうか?


申し訳なくなって、もう大丈夫だと口を開こうとしたその時――


「課長……大沢課長の奥様ですよね?」


< 195 / 589 >

この作品をシェア

pagetop