Fragile~思い出に変わるまで〜
でも藤森に戻る意思がない以上、ここで情けをかけるわけにはいかない。


俺はもう一度追いうちをかけるように言った。


「あなたが愛したあやさんのことも、ひなちゃんを含めて大事にします

僕が幸せにしますから、安心してください」


もう一度安心してくれと念を押して、彼が諦めてくれることを祈る。


すると彼はようやく決心したように、拳を握りしめて言った。


「わかりました……

そこまであやとひなを思ってくださってる大沢さんなら……

……きっと僕なんかよりも二人を幸せにしてくれるんでしょうね……

ほんとは…僕が幸せにしたかったんですけど……

自分で一度壊してしまったんですから、仕方ないですね?」


中田はやりきれないといった表情で、そう俯きながら答える。


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