Fragile~思い出に変わるまで〜
有無を言わさぬ勢いで言うと、彼はしばらく黙ったまま俺の目を見つめていた。


それから、はぁ……と大きく息を吐きながら俯くと、諦めたようにもう一度顔をあげ、俺の顔を見て言葉を搾り出すように言った。


「そこまで娘のことを可愛がって下さって……

ありがとうございます

はっきり言って、娘といっても……

僕は産まれてすぐに別れてしまったので……

父親としての自覚も、父親である資格も……

僕にはないんですけどね?

ただ、あやを愛していたことだけは事実です

それを壊してしまったのは僕自身なんですけど……

本当にそんなつもりじゃなかった

そんなの言い訳にもならないんですけどね?」


そう悲しげに言う彼を、少しだけ哀れに思った。


ほんとに藤森のことが好きだったんだろうなということが伝わってくる。


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