Fragile~思い出に変わるまで〜
両手を合わせて、いただきますと赤ちゃんに話しかけるように言うと、なんだか一人だけで食べてる気がしなくてうれしかった。


ゆっくりと食事をとりながら、これがお腹に栄養として届くんだと思うと、前は辛かった一人での食事も、幸せにすら感じてくる。


赤ちゃんの力ってすごいな……


こんなにも私を強くしてくれる。


夕食をすませ、後片付けを終わらせると、リビングのソファーでゆったりとくつろぐことにした。


食後のミルクティーをお気に入りのカップに入れて、ひとときの贅沢な時間を楽しむ。


思い付いたように鞄をまさぐると、ノートのようなものを取り出した。


――母子手帳


なんど見ても嬉しくて顔がほころぶ。


ずっと夢にまで見たこの小さな冊子が今、自分の手元にある喜びでいっぱいだった。


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