Fragile~思い出に変わるまで〜
「私……ずっと思ってた

健が板挟みになって苦しんでるんだって……

私のことも、藤森さんたちのことも、大事にしたいし傷つけたくないって思ってるんだって……

健は優しいから……

でもね?最後には私を選んでくれるってずっと信じてた

だから今日、私は健に本音をぶつけようって思ったの

困らせてどっちを選ぶのかを見極めたくて……

そしたら健は自分にとって何が一番大事なのかがわかると思ったから……
……ひなちゃんのとこに向かった時点で、答えは出てたんだよ……健」


さとみは淡々と……でも深い悲しみを宿した目で、俺の目を見ながらそう言った。


「ち…がう……」


喉の奥に何かが張り付いたように、うまく声が出せない。


「違わないよ!

健はひなちゃんを……

藤森さんを選んだんだよ」


俺はさとみが次に何を言い出すのかが怖くて、どうしたらいいのかわからずに、違う……とバカみたいに繰り返すことしか出来なかった。


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