Fragile~思い出に変わるまで〜



「たけるぅ、ごはんできたよぉ」


藤森の真似をして、ひなが繰り返し俺を呼んでる。


「おぉ、わかった!

今行くからね?」


そんなひなが可愛くて、自然と笑みがこぼれる。


読んでいた新聞をたたんでテーブルに置くと、ソファーから立ち上がり食卓へと向かった。


穏やかな日曜日の朝の、ごく当たり前の幸せな家庭。


そんなシチュエーションが頭に浮かぶ。


藤森とひながこのマンションで暮らすようになってから、もう半月が経とうとしている。


この生活にもすっかり慣れて、以前から三人で暮らしていたんじゃないかと思うくらい馴染んでいた。


藤森の朝食は、和食が多い。


カフェオレにトースト、スクランブルエッグにベーコン、サラダが定番だったさとみとは真逆だった。


だし巻き卵にふろふき大根、お新香、納豆、白飯に赤だしの味噌汁。


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