Fragile~思い出に変わるまで〜
加えて先ほどよりも強い痛みが、どんどん短い間隔で襲ってくる。


ふいにお腹に力が入り、押し出そうとするかのような感覚に襲われた。


何……これ?


息が出来ない……


そう思って分娩台にあるバーに捕まると、手に力が入る。


同時に先生と看護師さんが入ってきた。


私の様子を見ると、少し慌てたように話しかけてくる。


「石田さーん、まだいきまないでね?

呼吸整えて!いい?

ひっひっふぅー」


そう言われて母親学級で習ったのを思いだした。

いきみたいのを我慢して看護師さんに合わせて呼吸する。


「ひっひっふぅー……ひっひっふぅー……」


「はい!いきんでください!」


痛みで意識が朦朧とする中、先生の言葉通りに必死にいきむ。


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