Fragile~思い出に変わるまで〜
でも、あやはそうじゃなかった。


さとみとの十年の結婚生活の中で、夜の夫婦の営みを拒まれたことは一度もなく、俺はそれが当たり前だと思っていた。


けれどあやはことあるごとにスルリとかわして、やんわりと拒んでくる。


三年間の中でも数えるくらいしか体を開いたことはなかった。


しかもいつも避妊を強要する。


一度あやに聞いてみたことがある。


どうして避妊する必要があるのかと……


俺はひなに弟か妹を作ってあげたい気持ちがあるんだと……


するとあやは悲しげな顔をして話す。


『健に自分の子が出来たときに、自分の子じゃないひなを今まで通り可愛がってくれるかどうか……不安なの』


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