Fragile~思い出に変わるまで〜
「ママのバカァ!
なんでわらうの?」


そう言いながら、私の体をバシバシ叩きながら、よっぽどくやしかったのか涙目になる。


私は慌てて謝ると、健太の頬っぺたにチュウをしながら、ギュッと抱き締めた。


「ママは健太が大好きだから、健太がプリン食べるって言ってくれて嬉しかっただけだよ」


そう優しく耳元で囁くと、健太は照れながらもまんざらではない様子で嬉しそうに笑う。


私はそんなささやかな瞬間が毎日訪れることに、安らぎと幸せを感じていた。


ふとポケットの中の携帯が震える。


健太にちょっと待っててねと声をかけると、携帯電話を開いて通話ボタンを押した。


「さとみさん!お久しぶりです!元気ですか?」


いつも元気なこの声は桜井くんだ。


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