Fragile~思い出に変わるまで〜
いろんな思いが頭をよぎったけど、とりあえず起きることにした。


リビングの扉を開けると、コーヒーの香りがフワッと鼻をくすぐる。


「おはよう」


休みの日はいつも俺の方が起きるのが早い。


だからさとみが先に起きていることが、なんだか不思議な気がした。


「おはよう、昨日はずいぶん盛り上がったみたいだね?」


さとみが立ち上がり、コーヒーを淹れながら聞いてくる。


何時に帰ってきたのかとか、2次会に女は来たのかとか、質問攻めだ。


まあ問い詰めてくる感じではないにしろ、さとみにしては珍しく雄弁になってる気がする。


俺はさとみの質問に正直に、ひとつずつ答えてやった。


何の気無しに、藤森のバツイチの話になったとき、さとみの顔が一瞬、強張ったような気がした。

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