Fragile~思い出に変わるまで〜
「だから!そんなに簡単じゃないんだよ!

私が健を愛した時間は……年数は……

まだ健がいなくなってからの時間の何倍もある

だから…美咲……」


私はいつの間にか泣いていた。


涙を拭いながら、美咲をしっかり見て伝える。


「もう少しだけ……

もう少しだけ健の思い出といさせて?

そしたら忘れるから……

前向いて違う人も見てみるから……ね?」


私はまだこんなにも健のことが好きだったんだ。


美咲に違う人を見ろって言われて、初めて気づいた。


健が幸せに藤森さんと暮らしてると思っていたときには気がつかないふりをしてたのかもしれない。


健が幸せならいいって……自分に言い聞かせてただけなのかもしれない。

一人になったって聞いて、自分の気持ちが抑えられないほど、健が好きだっだんだということに、私は今さらながらに気づいてしまった。


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