Fragile~思い出に変わるまで〜
「俺だってほんとはやだっての!

でもお前が気にしてるみたいだから言ってやったのに、俺を変態みたいに言うな!」


桜井は頭を大袈裟に押さえながら、それでもからかうような口調は変わらない。


「いったいなーもう……

照れなくてもいいですって!

じゃあオッケーってことでいいですね?

場所は任せてください!

今さらキャンセルは受け付けませんからね!」


早口でそれだけ言うと、桜井はあっという間に俺の前から台風のように去っていった。


相変わらず、慌ただしいやつ……


季節がら花見にしようと思ったんだろうが、わざわざ男同士で行く設定でもないだろうに……


苦笑しながらも、桜井の俺に対する気遣いが嬉しかった。


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