Fragile~思い出に変わるまで〜
――嘘……だろ?


それさえもさとみのおかげだったってことなのか?


俺は、何も知らなかった。


自分で立ち直って自立したつもりになってたけど……


そうじゃなかったんだ。


桜井が普通に接してくれたのも……


あやがうちに様子を見に来てくれたのも……


全部、さとみが俺のために陰で動いてくれてたからだったなんて……


自分の不甲斐なさに体が震えた。


何一つ自分で乗り越えてはいなかったんだと気付く。


こんな俺がさとみを幸せになんかできるはずがない。


さとみが幸せそうな顔をしていることに嫉妬して、桜井に八つ当たりするようなやつに、えらそうに他人を幸せにしようなんて言える立場じゃなかったんだ。


自分のバカさ加減に呆れながら、俺は桜井の顔も見れずに、拳を握りしめる。


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