Fragile~思い出に変わるまで〜
そんな空気を破るかのように、さとみは明るく言った。


「桜井くんももちろん知ってるよ?」


ペロッと舌を出しておどけたようにサラッと言ってのけるさとみに俺は驚きを隠せない。


俺の……子供……?


急に実感が湧いてきたのか、頭に血が昇るのがわかる。


鼻の奥がツンとして、気がついたら俺は泣いていた。


自分の子供が存在することが、こんなにも感動するなんて……


俺は知らなかった。


今までさとみには、別れてからも俺の知らないところでたくさん助けられてた。


それなのに、それだけじゃなく俺の子供を産んでくれていたという事実に、感謝という言葉だけじゃ足りない思いが、俺を襲う。


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