Fragile~思い出に変わるまで〜
そう自分の中で言い訳をして納得させると、気を取り直してパソコンの電源を入れた。


しばらく仕事を片付けていると、ふと今朝のさとみとの会話を思い出す。


『帰ってからちゃんと話すから……』


そうさとみには伝えた。


だけどなんて説明したらいいんだろう?


なるべく正直には話すつもりでいたけれど、最後の抱擁については隠すつもりでいた。


恋愛感情でそうなったわけじゃない。


藤森の寂しさを一瞬だけでも埋めてやりたかっただけだ。


余計な心配をかけたくないし、たぶん相談の話をしただけでも、さとみは相当動揺するにちがいない。


今朝だって、本当は何か聞きたかったのかもしれないのに……


< 96 / 589 >

この作品をシェア

pagetop