叶わない恋だとしても~I Love you~
指定された場所に並んでいると、花を渡された。
胸元のポケットに付けてください、と。





安全ピンを外して、ポケットに刺す。





「やべ、とまんね...」
1人で焦っていると、
「ちょっと貸してね」
手が伸びてきた。
すっと留めてくれた。






「...ありがとう」
「いいえ」





にこっと微笑み、その女は向こうへ行ってしまった。
ショートカットで、みんなと同じ制服を着た女だった。
名札には“中田”の文字が。






後姿を追っていると、少し離れた場所に座った。
周りをよく見てるんだなと、感心した。






*






入学式も無事終了。
校長の長い話も、生徒会からの歓迎の挨拶とか、
めっちゃだるかった。
でも、最後の吹奏楽部の演奏はカッコ良かった。
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