脱力系彼氏
 そう考えるとだんだん怖くなってきて、あたしの頭の中は後悔でいっぱいだった。もっと距離を縮めてから告白すれば良かった、って心から思った。

でも、もう過去には戻れなくて、泣きそうになった。


多分、それが顔に出ていて……物凄く、泣きそうな顔をしていたんだと思う。


昇ちゃんは、あたしと付き合う事を承諾したんだ。


後になって思えば、あの時あたしが泣くのが面倒臭かったからなんじゃないか、って思う。


昇ちゃんがあんなに脱力系人間だって知ったのは、付き合ってからだった。
昇ちゃんは、いつだって面倒臭い事は避ける。

そりゃあ、最初はへこんだ。付き合って間もない彼氏に、「だりぃ」とか「めんどくせー」なんて言われて、へこまない彼女はいないだろう。

それでも、何気ない優しさを向けられたりすると、許してしまう。好きが、大きくなっていく。


ねぇ。

昇ちゃんにとって、あたしと付き合うよりも、あの時、あたしを振って泣かせちゃった方が、きっと、面倒臭くなかったんじゃないかな?



あたしはいつも、不安に思ってしまう。

< 23 / 97 >

この作品をシェア

pagetop