彼女のattitude ~学園・非公認的恋愛~
プロローグ
足元がフワフワしてる。

長い年月をかけ、葉が落ちて、朽ちてを繰り返してできた、柔らかな地面のせいかな。

頭もなんだかぼんやりする。

360度、背の高い木と、木と、木。
そのむせかえるほどの、自然の香りのせいかな。

とにかく空気が濃くて、胸が詰まる。
息をするのも苦しい。



あれ、わたし、いつの間にこんな森の中に迷い込んだの。

少し離れたところに、灰色の四角い何かが見える。

あれは、いったいなんだろう。

気になって、一歩踏み出そうとした。



「気に入った?」


すぐ後ろのほうから声がした。

それはたぶん、同い年くらいの男の子の声で。

だれ、って確認しようとしたけれど、なんだかモウロウとしてて、ままならない。



「でもね、足りないんだ」

男の子の声が曇ったようだった。

気に入ったとか、足りないとか。

いったい、なにを言ってるの。



そう思って振り返ろうとしたその直後、からだじゅうの力が抜けて、景色がぐるっと回って、わたしは――。





< 1 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop