彼女のattitude ~学園・非公認的恋愛~
◆first day◆

1・あたらしい朝

うららかな春の朝、その静けさを破る絶叫。
と、同時に響く豪快な衝撃音。
古い洋館は揺れて、軋んで、その寿命を少し縮めた。

「お姉……、桐っ!大丈夫か!?」

切羽詰った声と同時に部屋のドアが勢いよく開かれ、制服を着たの男の子が飛び込んできた。

えっと、あれは、葵?

かわいい顔して生意気な、ひとつ年下の従兄弟。
そのうしろでは、エプロン姿の白髪の女性がそっと顔をのぞかせている。

ああ、おばあちゃん。

この家の主人でもある、父方の祖母。

ねえ、何で二人ともそんな心配そうな顔をしているの。
もっと不思議なのは、どうして二人の顔はさかさまなんだろう。

ヘンなの、って笑おうと思った。
だけど、ソッコー気づいてしまった。
……違う、二人がさかさまなんじゃない。

さかさまなのは、わたしだ。
< 2 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop