彼女のattitude ~学園・非公認的恋愛~
◆distance◆

1・鳴子

翌朝。

葵は部活の朝錬があるらしく、わたしが起きたのと入れ違いに家を出ていった。
部活ってなにやってるの? そうおばあちゃんに尋ねると、『ぼくしんぐ』なんだと言う。
はっきり言って意外だけど、確かにただ細いってわけじゃなくて、引き締まった身体だった気もする。
小さい時は非力で泣き虫だった葵がなあ、なんて、思い出にひたりながら、ひとりで登校した。

わたしが教室に入るなり、空気が張り詰めたような、そんな感じもしたけれど、平然を装って席に着く。
1時間目から体育なので、ジャージ姿のクラスメイトもちらほら。
わたしもぼちぼち着替えようかな、と思った時だった。

「おはよう、早坂さん!」

わたしの肩をたたいて、明るく声をかけてきたのは――。
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