天を衝く槍


それから暫くそこでぼんやりして、風が冷たくなってきたので私は自分の寝床に着いた。


「………………」


「………………」


「………………」


「………………」


目を閉じて寝ようと試みるものの、何故か寝付けない。


疲れて寝ている筈なのに、何故か寝れない。


「………………」


うーあーどーしよー。


あ、とりあえず寒いかもだけど風に当たろうか。


風に当たると疲れるっていうし。


「……あ…」


とか思ってベランダに出てみようとして、ふと、隣のベランダを見ると、シロさんがいた。


彼はボーッとしたように自分の掌を見ていた。


ただ、自分の掌を見ているだけなのに、泣いているようだった。


そして視線を空に向け、もどかしい表情をする。


「……もう時間がないよ…」


彼の口がそう動いた。


「………………」


……時間…?


「………………」


一体何なんだ。


2年がどうのこうの、時間がないだの。


そう思いながら私は、あんな顔をしたシロさんが近くにいるベランダに出れるわけでもなく、再びベットに入って目を閉じた。


「………………」


気のせいだろうか。


なんか、隠し事されてる?


「………………」


―—ま、いーや


そして私はいつの間にか眠りについたのだった。

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