あたしの旦那は保健医です!?

夕食を杏の部屋へ持って行く。


「杏、夕食持ってきたから食べな」

「んー」

杏は起き上がって食べ始めた。

「美味い?」

「うん、すごくおいしいよ」

「そう。
あのさ、杏。
昨日のことなんだけど……」

「ごめんなさい!!!」

杏は頭を下げて謝った。

「心配かけてごめんなさい。
風邪ひいてごめんなさい。
本当にごめんなさい」

「杏、どれだけ心配したと思ってんの?
榊なんて俺に電話して、警察にも電話しようとしてたんだよ!」

「うぅ…、ごめんなさい。
迷惑かけてごめんなさい。
ごめんなさい、ごめんなさっ…」

「もう、いいから。」

涼が言葉を遮った。



「杏は理由もなしにそういうことする子じゃないだろ?
理由教えて?」


「……矢野にバレた」

「うん、それで?」

「それで……、矢野から、涼のわ、るぐちいわ、れた」

涙が出てきて上手く喋れない。


「うん」

涼はあたしの頭を撫でている。


「涼、迷惑かけちゃってごめん」

「迷惑じゃないから」

「涼……。」

「話してくれてありがと。
ほら、もう寝て。
泣くと熱上がるよ」



涼は優しくそう言って、部屋から出て行った。









本当はもっと言いたいことがあるんです。


『あたしのことどう思ってる?』


って。
< 117 / 380 >

この作品をシェア

pagetop