ブラック王子に狙われて②
放課後、慧くんの自宅でいつものように過ごして、
横目で彼を盗み見する。
この澄ました顔の下は、
一体どんな造りになってるんだろう?
クリスマス以来、彼から一度も催促されてない。
というより、私自身が忘れようとしてたのか。
どうして私なのか?と尋ねた事があるけれど、
それ以降は、彼はいつだって『ついて来い』としか言わない。
意地悪な口調で脅したり責めたりするけど、
私を傷つけるようなことは決してしない。
彼はそういう人だから。
だからこそ、甘えていたというのもある。
よくよく考えてみれば、
彼が教えてくれなかったら、
今の私の成績もあり得なかったし、
三流の私立大学ですら、無理だったと思う。
「絢、よそ見すんな」
「っ……はぁい」
今週末にある英検の試験対策をしていて、
彼が長文読解の法則を教えてくれた。
英語は得意科目でもあるから、彼の期待に応えたい。
ん?
え??
あれ???
これって、もしかして……そういうこと?