ブラック王子に狙われて②
Ⅺ 思わぬライバル出現?!

・脱ぐつもりなの?



夏休みに突入し、慧くんママと慧くんと一緒にイギリスへと渡った。

台湾とシンガポールには家族旅行で行ったことがあるけれど

イギリスは初めてで、見るもの全てに感動する。


「絢?」

「あ、はい」

「ボーっとしてると迷子になるぞ」

「っ……」

「ん」

「/////」


慧くんママがいるのに、手を差し出された。

いいのかな?

目の前でいちゃついても……。


慧くんの言葉で振り返ったママさんの視線が、

慧くんの手元に落とされてるのに……。


「余計な心配すんな」

「っ/////」


躊躇している私の手をぎゅっと握って来た。


「そうよ、絢ちゃん。そのために慧がいるんだから、犯罪防止のためにも、慧から離れないでよ?」

「犯罪っ?!」

「置き引きとかスリとか、……痴漢とか」

「っ……」


日本でだって痴漢やスリとかはあるけれど、

知らない土地っていうだけで全然違う。

だって、スリや痴漢に遭っても、警察で説明出来そうにない。

思わず、彼の手をぎゅっと握り返してしまった。


「とりあえず、今週は大学を廻って志望する所を絞りましょ」

「……はい」

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