恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~
「どう?成瀬君に上手く言えた?」


開口一番、ミィは私に結果を聞いてきた。


「う、う~ん……上手くは言えなかったけど、オッケーもらえたよ。7時に中庭でって。」


とてもじゃないけど、あれを上手く言えたと言うのは抵抗がある。
でも、結果良ければ全て良しってことでいいよね?


成瀬君とファミレスで別れた頃には、雨もあがって、夜の8時を回っていた。

家に帰ってきて食事をすませてから、協力者であり、発案者でもあるミィに報告をしようと思って電話を掛けた。

ワンコールで出たから、きっと心待ちにしてたんだろうなって思う。


「マジで!?やったじゃんコト!これで後夜祭の間は、成瀬君1人占めだね!」


まあ、こんなに喜んでくれてるし、私も上手くいって良かったと素直に思えた。


「あ、そうそう!成瀬君で思い出したんだけどね、ちょっと聞いてよ。」


「今のは『1人占め』ってところに反応してほしかったんだけど…まあ、いっか。それで、一体どうしたの?」


「私、ファミレスでお茶こぼして、成瀬君のズボン濡らしちゃったんだけどさぁ。」


「それは、かなりの致命傷だと思う…」


ミィがちょっと呆れたような声を出す。携帯越しに、がっくりと肩を落としたミィの様子が伝わってきそうだった。


「本題はここからだって。その時に貸したハンカチを、帰りに返してもらおうとしたら成瀬君が、洗って返すからって。私が悪いのに、紳士だよねぇ~。」


成瀬君の良く気が付いて、気が利く所を、今日は沢山見せてもらった。

別れる時には、暗いから気をつけて帰れって言われたし、細かい気配りができる人なんだなって思えて、さらに好きになった。


「へぇ~、成瀬君って結構気が利くんだね。学校ではあんましそんなイメージ無いんだけど。」


「そうなの、そうなの!だからダンスもきっと楽しく踊れると思うな。」


成瀬君は自信が無さそうだったけど、精一杯努力して踊ってくれる。
そんな気がする。
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