溺愛ごっこ
情けな…。

あたし、こんな弱いヤツの彼女だったんだ…。

眺めながら冷静に思った。

「ほらよ」

久世が彼氏の腕を離した。

「もしたった今誓ったことを1つでも破ったりしたら、その時はテメーをストーカーで訴える。

いいな?」

「は、はい!

わかりました!」

彼氏はペコペコと頭を下げると、どこかへ逃げた。

「ずいぶん骨のねーヤツだな。

やっぱ、へし折っときゃよかった。

1本くらい折っても文句は言われまい」

久世はやれやれと息を吐いた。
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