Hurly-Burly3 【完】
逃げも隠れもしないわ。
「なかったことになんてならないんだもの。」
そうでしょう?
逃げたって何にもならない。
逃げれば逃げるほど追いつめられる。
それなら、答えは簡単よ。
「あたしは家を守る。
そのためならあたしの将来なんてくれてやるって
そう決めたんだから考えは変わらない。」
「日和様、無理をなさってはいませんか?」
無理なんてしてない。
それがあたしの意志の強さだ。
「貴女が犠牲になることはないと思いますよ。」
犠牲になったわけじゃない。
それだったら、母さんの方がずっと犠牲になって
働いていたと思う。
「大和さんはあたしに何を望んでいるの?」
「貴女が幸せになることです。」
それじゃあ、どうやったら幸せになれるのか
教えて欲しいよ。
それがハッピーエンドかどうかなんて本人の
考えようでしょ?
紺色の空に浮かぶ月は薄らとした雲に覆われる。
海の細波が心地いいサウンドになり、秋の匂い
を告げるそよ風がふわりと窓から入ってくる。
潮の匂いと一緒に月の光が微かに差し込む
車内は外灯とともにに雰囲気を作り出す。
この月明かりの微弱加減の紺色の空に
雲がチラホラ浮いているように海の波
と同じように溶けてなくなってしまえ。
あの日の話が全てなかったことになれば
あたしは悩んだりすることすらないのに。
だけど、なかったことにはならない。
全てを掴みとる勇気を。
全てを捨てる勇気を。
全てを受け入れる勇気を。
あたしの強さに変えて頂戴。