Hurly-Burly3 【完】
少なくともあたしにはそれぐらいしてくれたって
いいと思うんですよ。
「お前は何がしたいんだよ。」
慶詩の声にどくんと心臓が騒ぎ立てる。
何がしたいと言われても何のことなのか
さっぱり分からない。
「ど、ど、どういう意味ですかに?」
完全に舌を噛んでしまった。
とても恥ずかしい失態を・・・こんな時ぐらい
水に流して貰えないだろうか。
「・・お前、今の状況でその対応・・・」
慶詩の言いたいことは分かっている。
シリアス展開を予想していたところに
このあたしの舌を噛むという空気のぶち壊し
方はまさにKY(空気読めない)という人らしい。
「うへー、舌が・・・」
死滅したら確実に慶詩のせいだと文句を
言ってやらなきゃだ。
「お前はつくづく訳の分からねぇ女だな。
あ、間違えた。女じゃねぇや。」
いや、全然間違ってませんよ。
生物分類では女性として属してます。
「お前は俺たちに散々教えろだの何だの
言うくせに結局のところ壁作ってんのは
おめぇの方じゃねぇの?」
夜空には雲一つなく月が神秘な光を放ち
暗闇に影を作った。
「お前の思ってるお友達像なんてそんな
もんだったのかよ。」
吐き出すように言う慶詩に何も言えなくなった。
あたしはどこかで迷惑を掛けないという厚い壁
をみんなに対して作っていたんだ。
みんなだけじゃない。家族にもサユにもあたしを
心配してくれる人にあたしは自分からシャットダウン
して防壁を作り、自分で自己満足をしていた。
待ったって何にもならない。
無謀過ぎて果てしないその壁を自分で作っておいて
他人のことには首を突っ込もうとしていてあたしは
何がしたかったんだ?
慶詩の言葉痛いほどに突き刺さる。
病人なのにちっとも優しくないその言葉が慶詩
なりの優しさだとしても今の状況ではそんなふうには
考えられなかった。