赤い月 参

みんな揃った。

嬉しくなってヘラっと笑った景時の背後で、乾いた音が響いた。

驚いて振り返ると、うさぎの前に大吾が頬を押さえて倒れ込んでいる。


「大吾!」


祥子が小鞠の手を振り払って駆け寄り、庇うように大吾の上に身を伏せた。


「ほんとゴメン、うさぎ!
私も謝るから!
大吾を許し」


「退け。」


祥子の襟首を掴んだうさぎが、軽々と大吾から彼女を引き剥がす。

よろけた祥子の肩を、景時が受け止めた。


「そなた、何故妾を置いて行った?
妾が女だからと言うのなら、何故景時と薫に相談しなかった?」


「…っ
迷惑かけちゃ…
俺一人で、なんとかでき」


「下らぬ。」


うさぎが俯く大吾の髪を掴んで顔を上げさせ、真正面から険しく睨みつけた。

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