赤い月 参

うさぎが『闇』に沈んで…

消えた。


『妾が助けたいと思ったからじゃ』


水原は自ら闇黒に身を沈め、うさぎの腕を掴んだ。


「そんなモン、知るか!
俺が助けたいと思ったからだ!!
悪いか!!」


水原の絶叫が辺りに轟いた途端、暗闇に二つの赤い光が灯った。

騒ぎだす木々。
震える大気。

『闇』の海が割れて姿を現した美しい鬼が、銀の髪を背に流しながら立ち上がる。

さっきまでの儚げな様子はどこへやら、暴れ狂う『闇』が畏れをなすほどの威厳に満ちた鬼気を放っている。

気が抜けたこと。
強大な鬼気を浴びていること。

二つのダメージを食らって、水原はペタリと座り込んでうさぎを見上げた。

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