揺れる水面 映る月影は何処から


本人は似合っていないと言うが、実際は逆だ。


寧ろ、似合い過ぎている。



後ろと横が少し残し、残りは銀杏返しに結われた髪型に白粉が必要のない白い肌、薄く引かれた紅。



そして、白の牡丹が映える緋色の着物。



それらを身に纏う妃絽は何処の芸妓に劣らない程美しかった。



「い、いや、似おうてるよ」



「何でそんなに挙動不審なんだよ。あんたはムッツリなのか?そして、目はイカれたか?」



挙動不審な山崎を怪訝に思った妃絽は毒を吐いた。



せっかく綺麗な女の格好をして外見が変わっても、毒舌だけは変わっていなかった。



そこが少し残念である。





< 74 / 270 >

この作品をシェア

pagetop